旅人は帰れども…

カンボジア:シェムリアプ(2000年10月28日〜11月6日)




アキラの地雷博物館

バッタンバンでベトナムビザを取得した私は、ピックアップトラックでシェムリアプに移動した。バッタンバンでのベトナムビザ取得は実に簡単だった。11時頃領事館を訪れパスポートを預けると「じゃ、2時に来てください」と言われた。そして、2時に行くとすでにパスポートにはビザのシールが貼られ、そこにスタンプを押した。普通50US$くらいする(日本だと1〜2万円する)ベトナムビザが、3ヵ月有効1ヵ月滞在のシングルビザで30US$だ。申請書も書かず、早い・安い・簡単と3拍子揃っている。

シェムリアプに近づくにつれ天気が怪しくなってきた。そして遂に雨が降り始め、たちまち土砂降りとなった。トラックの荷台にいた私はバックパックに染みるほどずぶ濡れになってシェムリアプに到着した。

 


再会したターン。いつも編物をしていた

今回の東南アジアにはひとつのテーマがあった。それは“再会”だ。前回出会った人たちとどれくらい再会できるか。そのため、前回と同じ所を逆ルートで回ることにした。

シェムリアプ2日目にそれは早くも実現した。タソム・ゲストハウスの向かいでジュース類を売っている“コーラ姫”ことターンだ。私を見つけたターンはちょっと驚いたような顔をしたが、すぐに微笑んだ。そしてターンは私にこう言ったHow are you?」。驚いた。前に会ったとき(1999年1月、ターンはまったく英語が出来なかった。それを友人のタク君が時には歌を歌ったりして必死にコミュニケーションを取っていたのだ。今も会話が出来るほどではないが、確実に前よりは英語を使っている。

言葉は通じなくても、ある程度の意思や気持ちは通じるから不思議だ。それから毎日ターンの店に通った。笑顔を交わすことくらいしか出来ないが、それでも再会の喜びに浸るには充分だった。

 


アンコール・ワットにスレイの姿はなかった

シェムリアプではもう一人会いたい人がいた。アンコール・ワットでコールド・ドリンクを売っていたスレイだ。前回彼女との約束を果たすためにドラマが生まれた。そして、彼女の言葉が私とタク君の頭から離れなかった「旅人はまた来るねって言うけど、決して戻って来ない。これは人一倍人との出会いを重視するタク君にはとても重い言葉だった。それは私も同じだ。

スレイには会わなければ。そう思いアンコール・ワットへ向かった。

アンコール・ワットにはジュース売りの姿はなかった。土産物屋に言って聞いてみた「スレイ・トーイを知らないか?。するとひとりのおばさんが「スレイはここにはいない。レストラン・コレン・ピーにいる」と言う。

レストラン・コレン・ピーを知っているバイタクを探して行ってみた。

ウエイターに「スレイ・トーイはいる?」と聞いてみた

「スレイはつい最近辞めてしまった。今はどこにいるか分からない

手がかりはここで途切れてしまった。

旅人は帰って来た。しかし、スレイはいない。

流れ行く時の中ではこれも仕方がないことだった。


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