サパは深い霧の中だった。 Viet Hung Hotel にチェックインした後、街中のモン族の子供達に「ギュはどこ?」と聞いて歩いた。ギュとは前に出会ったモン族の子だ。 すると子供達は「ギュちゃん、Baby Baby」とお腹をぽんぽんと叩きながら言っていた。 そうか、ギュにはもう子供がいるんだ。モン族は15歳くらいで結婚する。同じ宿にいた写真家のユウコさんがそう言っていた。 今サパにも欧米のボランティアが入ってきて、学校などを作り子供たちを入れているという。しかし、15歳で結婚するモン族が学校に行くと婚期を逃し、モン族のバランスが崩れるのではないかと不安の声もあった。しかし、モン族の子供たちの中には学校に行きたがっていた子もいた。難しいところだ。
翌日、市場に行くとギュがいた。背中には赤ん坊が眠っている。 「イキマショウ」と言って私の前を歩いて行く。あの時と同じだ。ただ、ギュの背中には赤ん坊がいる。 赤ん坊がぐずると背中から降ろし、くるっと背を向け授乳する姿は確かに母親だった。 他のモン族の子供達が「赤ちゃんのためにギュちゃんにお金あげなよ」と言うと、「何言ってるの」とたしなめていた。 14歳の悪ガキは16歳の立派な母親になっていた。2年ってすごいんだ。 「すぐに村に帰らなくちゃいけないんだけど、一言“Hello”を言いたくて」と。そのためにわざわざ3時間の道程を赤ん坊を背負って歩いてきてくれたのだ。嬉しかった。 「TAKUは?」 「今、日本だよ」 「ミーちゃんがTAKUの友達で、…アイちゃん憶えてる? アイちゃんがKUNIOの友達だったよね」 懐かしそうにそう言う。 「私に手紙くれたでしょう? 私読み書きができないから返事書けなくてごめんね」 こうして会いに来てくれたことが何よりの返事だった。 「じぁ、もう村に帰るね。また、この次も会いましょう」と言ってまた3時間の道程を帰っていった。 次に会えるのはいつだろう? でも、そのときはギュの息子バンも大きくなっているだろう。 サパにまたひとつ楽しみができた。 |
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