ホイアンでは行き付けの店がなくなっていたので、1泊だけしてフエに移動した。 フエの日本人宿『BINH DUONG』に荷物を降ろし、ニャチャンから一緒だった屋宜君と共に『Thuy Tien』というカフェに出向いた。 Thuy Tienには強烈なキャラクターのチョコレートというスタッフがいるはずだ。 いた。「チョコレート!」と声をかけた。こちらを向く。そして次の瞬間「アーーーーーーーッ!」。狂喜乱舞とはこのことだ。叫び、飛び跳ね、手を取って踊り出さんばかりだ。これほど喜んでもらえるとは思っても見なかった。店のオーナーのパンケーキも笑顔で迎えてくれた。 翌日はオーナーの娘バナナにも再会できた。2年前味噌っ歯でボロボロだった歯も今では10歳になり歯もきれいに生え揃っていた。それを言うと恥ずかしかったのか、背中を思いっきり叩かれた。 新しいスタッフもとてもフレンドリーだ。しかし、ここのフレンドリーさはときに暴走する。ニャチャンからホイアンへのバスから一緒だったサッちゃんを連れて行ったとき、チョコレートたちは彼女を厨房の奥へ連れて行った。しばらくして戻ってくると、サッちゃんは口紅を塗られちょっと困ったような顔をしていた。 ほとんどのベトナム人は人見知りをしない。会った瞬間に友達なのだ。
BINH DUONGには私に『姑獲鳥の夏』をくれたタケシ君もいた。彼は私と共通する趣味も多く、妙なところで話があったりもした。そのひとつがジブリ作品が好きなことだ。 BINH DUONGには日本のビデオが多く、特にスタジオ・ジブリの作品は多かった。私たちはロビーにあるデッキで毎日のようにそれを見ていた。 フエには美味いものが揃っていて、よくタケシ君と食べ歩きに出かけた。チェ(ぜんざい)、ブン(麺)、鍋、ステーキ等々…。宿の近くで売っているケーキも種類が豊富で美味かった。
フエを去る日、最後にThuy Tienに行った。残念ながらチョコレートはいなかった。パンケーキが電話してバナナを呼んでくれた。バナナの英語も上達している。 「お友達(タク君のこと)はどこにいるの?」 「日本だよ」 「あの人髪が長くて、私のお母さんが後ろで縛ってたよね。私憶えてるよ」 そして、パンケーキが言った。 「あなたが来るたびにバナナは大きくなっているよ」 フエも“我が家”になりそうだ。そんな気がした。 |
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