|
「上海からトルファンまでの列車3泊4日を硬座(ハード・シート)で来た華奢な子が隣のドミにいる」。 カシュガルの其尼瓦克賓館でその話を聞いた私は無性に会ってみたくなった。それが実現したのは話を聞いて何日も経ってからだった。 私の泊まっていた402号室の隣、401号室には門口君も泊まっていた。私が401号室で門口君と話していると、彼女が帰ってきた。本当に華奢だ。
彼女は佳世ちゃんといい富山市で友達と4人で雑貨屋を経営しているという。今回はその買い付けというわけだ。仕入れの費用以外は全て自腹だという。個性的なキャラクターが印象的だった。 カイラスへの道を閉ざされた私は、とりあえずウルムチに戻らなければなかった。しかし、列車で30時間の道程、しかも一度通ったルートを一人で引き返すのはウンザリしていた。その時、佳世ちゃんが近々ウルムチに行くという話を思い出した。話し相手がいれば、楽しく移動できる。そう思った私は佳世ちゃんに声をかけた。 「いつウルムチに行くの?」 「明日か明後日」 「一緒に行かない?」 「硬座ですけどいいですか?」 「(ゲッ)…うん、いいよ」 「じゃ、一緒に行きますか」 こうして、ウルムチへのみちづれができた。 終日の移動は寝ているか話しているかどちらかだった。店のこと、佳世ちゃんが以前行ったカメルーンのことなど、色々楽しい話を聞けた。 周りの中国人もことあるごとに食料を勧めてきた。そういえばウルムチからカシュガルへ向かった時も、私が飲み水を切らして困っていると、周りの人が水を分けてくれた。列車ではよくそんな親切に出会う。
翌々日の朝、ウルムチに到着した。 佳世ちゃんの荷物が多かったので駅のすぐそばのホテルに行ってみたが、ドミは満室だった。仕方がなく、10数分歩いて前と同じ新疆飯店のドミにチェック・インした。一眠りした後、佳世ちゃんはすぐに買出しに出て行った。 佳世ちゃんが一号氷河と南山牧場へ行く安いツアーを見つけてきたので一緒に行くことにした。 一号氷河は標高4,000mにある氷河だ。チベットに行く前としてはちょうどいい訓練になりそうだ。そういえばちょうど1年前も氷河の上にいたような気がする。 南山牧場に行く途中で昼食となった。それは味、量とも予想を遥かに上回っていた。 南山牧場で客引きに囲まれた佳世ちゃんは毅然と振り切っていた。彼女には芯の強さが感じられる。
ウルムチで2泊した後、私は敦煌に佳世ちゃんは上海に(さすがに今度は寝台だ)向かった。列車の時間が近かったので駅まで一緒に行った。
重い買出しの荷物をしばらく自分で持っていたが、途中でgive up。私が持ってあげることにした。 駅で荷物を渡し、最後に握手をした。この小さなSuper Ladyとも今日でお別れだ。とても、印象深い人だった。 「今度は普通の旅行で会いましょう」。それが彼女の偽りない気持ちなのだろう。私も普通の旅人の彼女を見てみたいと思った。
ちなみに調子に乗って駅まで荷物を持ってあげた私は、その重さに体力を奪われへろへろになって敦煌に向かった。 |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |