チベットにはカイラス・ルートで行くことにした。 このルートはカシュガルからカイラス山を通ってラサに抜けるルートだ。 チベット自治区に行くには中国政府の事情から様々な制約がある。正式に認められているのは成都などからの空路の他、陸路ではゴルムドとネパールからのみで、いずれもCITS(中国国際旅行社)でツアー形式にしたもののみだ(他のルートもツアーを組めば合法になることもある)。 つまり、ツアーを組まないカイラス・ルートは違法ルートとなる。しかも、交通機関があるのはカシュガルから250kmのアーバーまでだ。そこから先の2,700kmはヒッチで行くしかない。 道も整備されておらず、行方不明者も出ているルートだ。 しかし、日本で前年このルートを通った友人に写真で見せてもらった風景の美しさが忘れられなかった。 そこでヒッチのパートナーを探すことにした。とてもじゃないがヒッチなど一人じゃ厳しい。
私は一人でいるのが嫌なタイプだ。だからドミに泊まる。全く一人旅には向かない人間だ。そのくせ人見知りで自分から話し掛けることもあまりできないのだから性質が悪い。 松潘を出て以来ドミに一人で泊まる羽目になることが多かった。マイナーなところだとまだ許せるが、敦煌やトルファンなどメジャーなところでは耐えられない。 そんなストレスがピークに近づいていた時、思いがけない人とであった。広州・陽朔・成都で一緒だった関口君と成都で出会った松尾さんだ。 食事をしながら彼等と話していると気持ちが落ち着いてきた。 残念ながら彼等はこの日の夜に敦煌に向かったが、充実した一日を過ごせた。
翌日、いつものように日本人旅行者を求めてJohn's Cafeに行った。 すると、二人の日本人がやって来て「昨日も会いましたよね」と話しかけてきた。そのうちの一人が同じ北海道出身だというのでそこから話が弾んだ。 二人は広州で留学しているミキちゃんとサクラちゃん。なんと、私が香港で会った人と友達だという。不思議なものだ。 私は「カシュガルからカイラス・ルートでラサに行く人を知らないか」と訊いたところ、二人と行動を共にしている人がこのルートを考えているという。なんという幸運だ。早速その日の夕方、彼女達の仲介でその人に会うことにした。 彼は門口君といい、やはりヒッチのパートナーを探していたという。人柄もよさそうで安心した。
彼等3人はこれからタクラマカン砂漠で星を見るツアーに行くという。実はこれは私も行きたいと思っていた。しかし、集まってくるガイドの話は数百元と高いものばかりだった。ところが、彼等のツアーは一人80元で、私が参加すれば一人70元にしてくれるという。 私は3人に同行させてもらうことにした。 砂漠は街明かりがわずかに届き真っ暗ではなかったが星を見るには充分な暗さだった。 天の川がはっきりと見える。初めて見た天の川かもしれない。 時計は0時をまわり、日付は7月7日になった。 何時まで話しただろうか。天空の大河の下、狼の足跡に多少の不安を抱きつつもカイラスに思いを馳せ、日の出までの短い時間眠りについた。 |
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