始動

韓国:ソウル(2000年4月27日〜5月8日)



旅は生きている。

その命は絶えることなく旅人達を魅了し続ける。

私は広島での3ヶ月の出稼ぎを終え、再び旅に出た。今回はチベットをメインにするということ意外はろくにルートも決めていない。前回よりも大雑把だ。その分旅らしくなればいいのだが。

スタートはやはりソウルだ。ソウルに行くというより、安宿『大元旅館』に帰って来るといったほうがいいかもしれない。常にここが原点となる。

 


ソウルにある公衆電話付き自動販売機。
しかも、缶と紙コップ両方売っている

野球好きの私は早速翌日、大元旅館に10年も出入りしているアキさんとカジノのプロのえいちゃん等とプロ野球の試合を見に行った。この日は蚕室の球場でLGツインズvs韓華イーグルスの試合が行われる。

地下鉄・蚕室駅には献血の部屋があり、ここで献血すると蚕室球場で行われるLGの主催試合が無料になるというサービスを行っていた。アキさんが早速献血してチケットの無料引換券を手に入れた。

日本では外野から埋まっていくことが多いが、韓国では内野が賑やかだ。応援団も内野に陣取っていて、日本よりも派手な応援をしている。

試合は見応えのある内容でLGツインズが勝利した。

 

大元旅館の客には不思議と北海道の人が多い。そのなかに遠藤淳さんがいた。

遠藤さんは札幌から車で国内旅行しながら福岡まで行き、そこから船で対馬に渡り、対馬から高速船で釜山に入るというルートを取ってきたという。対馬には出国できる港がふたつあるらしい。

ある日私と遠藤さん、埼玉の坪井さん、坪井さんの友達で日本語と中国語を操るバイリンガルな韓国人の英美(ヨンミ)さんと4人で食事に出かけた。

私は韓国に来ても外国に来たという感覚はあまり感じないのだが、それは韓国人の英美さんも同じらしく、彼女が日本に来た時あまり外国という感じがしなかったという。

韓国のこと、中国のこと、日本のこと。他愛のない話だがこうしている時間が一番楽しい。私はこの時のために旅をしている。

 


食通のアキさん(左)が連れて行ってくれる店は大概美味しい。
ここのパジョンも卵たっぷりで美味 

広島から美香ちゃんが来た。

彼女とは2000年の元日に大元旅館で出会い、広島に戻ってからも旅の話をしたり、尾道や岩国に日帰り旅行をしたりと一番身近な存在だ。

そんな彼女と一緒に買い物に行くことになった。時折、広島にいるような錯覚を起こし、今自分がどこにいるのか分からなくなるような、不思議な気持ちになった。

時は絶え間なく繋がっている。過去も未来も。その中を私達は歩いている。

それもまた旅なのかもしれない。

新たな旅はこうして静かに始まっていった。


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