甲斐さんの勧めで郎木寺に来た。 郎木寺は四川省と甘粛省の省境にある小さな村だ。 第一印象は「しょぼい町」。しかしその気持ちはすぐに消えた。散歩をするとその風景の美しさに息を呑んだ。 この町に来る外国人に人気なのが回族の夫婦が経営している『LESHA'S RESTRANT』だ。ここの名物は手作りのアップル・パイと巨大なヤク・バーガーだ。直径30cmもの固いパン2枚の間に炒めたヤクの肉や野菜を挟んだものだ。これを一人で食べきった人は、店に名前が残るというわけだ。私は半分と4分の1の中身までしか食べられなかった。
店に外国人がいると、チベタンの坊さんなどが覗きに来る。 村にはセーティ・ゴンパとキルティ・ゴンパというふたつの大きな寺院がある。本堂の内装が綺麗だったセーティ・ゴンパに対してキルティ・ゴンパは見劣りするイメージを受けた。 何かの行事だろうか、北京の大学生が団体で来ていた。
翌日もLESHA'S RESTRANTに行くとなんだか空気が重い。夫婦喧嘩をしているらしい。一時は一触即発の緊張感まで漂った。そんな中で奥さんは黙々とアップル・パイを作っている。
チベット圏では死者を鳥に食べさせる鳥葬の習慣がある。丘をいくつか越えるとその鳥葬場があるというので見に行くことにした。 何ともいえない雰囲気だった。足元には生々しい骨や服の切れ端などが散乱している。そして、その真中にはトルチョがはためいていた。 夕食時に再びLESHA'S RESTRANTに行った。もうすっかり仲直りしている。カメラを向けるとおどけて見せた。 美しい風景と人柄の良いレストラン。予定外だった郎木寺は思いのほか居心地の良いところだった。
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