Fairbanks




リベンジ

前年オーロラを見られなかった無念さを晴らすべく、再びアラスカにやって来た。
今回は札幌が大雪で飛行機が遅れ、ソウルでアンカレッジ行きに乗り継ぐことができなかった。
ソウルで1泊するか、ロサンゼルス経由で行くかの二者択一で私はロス経由を選んだ。
1日遅れで到着したアンカレッジは北海道とは逆にほとんど雪がなかった。
気温も+2度だという。異常気象のせいらしい。

翌日すぐにフェアバンクスに飛んだ。
ここまで来るとさすがに寒い。
空港からは迎えの車でチェナ温泉へ。
チェナ温泉はオーロラと温泉を楽しめることで人気だ。
温泉を使った温水プールと露天のジャグジー風呂がついていて、
開いている時間なら宿泊客は使い放題だ(要水着)。
濡れた髪が一瞬にして凍るほどの冷気の中で入る露天風呂は最高だ。
長湯しても湯アタリしない。
運が良ければ温泉に浸かりながらオーロラが見られるらしい。

夜9時を過ぎたあたりから近くの丘に人が集まりだす。
皆しっかりと厚着をしているがそれでもまだ寒い。
しばらくするとひとつの小さな光の点がスーっと線を引き始めた。
いくつかのカーブを描いた線から上に向かって光が吸い上げられてゆき、
やがて光の帯となる。
テレビや写真で見るような緑色ではなく白いオーロラだ。
雲と見間違えてしまいそうなくらい淡い光だ。
オーロラはゆっくりと広がりやがて消えてゆく。
そしてまた新たなオーロラが。
一度にふたつ、みっつと出ることもある。
2年越しでやっと出会えたオーロラを、
私はいつまでも見ていた。


アラスカ山脈


温泉の湯気でできた樹氷


チェナ温泉のロッジ。シャワーのみでたいした部屋ではないが
無茶苦茶高い


チェナ温泉に現われたウサギ


12月下旬、フェアバンクスの夜明けは午前11時ごろ。午後2時過ぎには日没だ

バローから戻った私は市内のキャプテンフックホテルに投宿した。
このホテルには森さんという若い日本人スタッフが常駐している。
彼はアラスカをこよなく愛し、アラスカのことを
皆に知って欲しくてたまらないといった感じだ。
ホテルでは日本人旅行者を対象に森さんのガイドでスライドショーを上演してくれる。
主にイヌイットの文化の紹介だ。
私はそれを見ていて、あることに気付いた。
「アイヌ文化に似ている」。
北海道で生まれ育ちながらアイヌ文化の知識はほとんどない私であったが、
刺繍のデザイン、毛皮の使い方などがとても似ていた。
そして、そのきわめつけが鮭を取るための“インデアン水車”だ。
これと同じものが北海道の千歳にあるのだ。
文化の不思議さを知った出来事だった。

その夜、再びオーロラを見るために郊外のスキーロッジへ向かった。
そのロッジは暖房が効いていて、オーロラが見える方向の壁がガラス張りになっており、
飲み放題の温かいコーヒーやココアを飲みながら、
オーロラを待つことができる。
そして、ここで最高のオーロラを見ることができた。
カーテンのように綺麗なウエーブを描いて、
延々と続くオーロラだ。そこに流れ星が走る。

残念ながらオーロラの写真は撮れなかったが、
リベンジは果たした。
しかし、今でもアラスカに惹かれる気持ちは変わらない。


夜のチェナ温泉


アラスカ航空機。尾翼にイヌイットのおじさんの顔が…


Santa Claus House。クリスマスグッズの店だ


アラスカパイプライン