Barrow




北の国から

北極圏に突入した。
“Top of the World”(世界の天辺)と呼ばれる、北緯71度の町バロー。
夏は太陽の沈まない白夜の世界。
冬は太陽の出ない闇の世界だ。
フェアバンクスからバローへのアラスカ航空機は真中に仕切りがあり、
前半分が客席、後ろ半分が貨物だ。
フェアバンクスも寒かったがバローは更に寒い。
呼吸をすると鼻の中の水分が凍りぺたぺたとくっつく。
まさに北海道でいう“しばれる”というのはこういう寒さだ。
迎えの車で『Top of the World Hotel』へ。
バローの人々は日本人と同じモンゴロイド系の顔の人が多い。
何か不思議な感じがする。
アラスカの空気の乾燥度はハンパではない。
あっという間に身体が帯電し、ドアノブなどの金属に触れると
音を立てて放電する。

夜はオーロラツアーへ。
10人前後の日本人が集まる。
バローは地域によって白熊の出没する危険なところもある。
前日、日本人旅行者が白熊の足跡を見たという。
皆思い思いの防寒をしている。
私は上は長袖のシャツに長袖のTシャツ、
トレーナー2枚にウインドブレーカー、その上にコート。
下はモモヒキにジャージ、その上にGパン。
普通の靴下の上に毛糸の靴下と防寒靴といったいでたちだ。
それでもすぐに足の感覚がなくなるほど寒くなる。
そんな中でオーロラを待った。
しばらくしてオーロラが出てきた。大きなオーロラだ。
そして、ふたつ、みっつ。最後はよっつも出た。
皆スタンドを立ててシャッターを切る。
私のカメラではASA1600のフイルムを使っても写らなかった。
フィルムがなくなっても手がかじかんで交換できないという。
だんだん寒さに耐え切れなくなってきた。
道産子のプライド(?)で人より先に暖かい車の中に戻るのをためらっていたが、
やはり寒さには勝てなかった。

翌日はほぼ同じメンバーで市内観光ツアーへ。
市内観光といっても特に観光資源があるわけではない。
郵便局とか大学とか、新築された家とか…そういうところを案内してくれた。
アラスカは緯度が高いのでパラボラアンテナは真正面を向いている。
北極海で皆車を降りる。
海も陸も氷に覆われ、どちらが海でどちらが陸か分からないくらいだ。
最後にスーパーマーケットに立ち寄った。
お土産屋のおばさんは、
「アリガトウ」、「マタアイマショウ」などと片言の日本語を話す。
北極圏にも日本語使いはいる。
そういえば“えびせん”も売っていた。
イヌイットの人たちに酒を飲ますと際限なく飲み、仕事をしなくなる人が多かったという。
そのためバローではアルコールもドラッグと同じように扱われ、禁止されている。
ビールもノンアルコールだ。
酒を飲まない私にはどうでもいいが、
酒好きの人は物足りなさそうだった。
空港の前には日本食レストランもあり、
帰りの飛行機を待つ間、そこで腹ごしらえをした。

大自然にオーロラ。白夜に太陽の出ない昼。
夏と冬では違う顔を見せるという。
アラスカは地球の面白さを感じさせてくれる。
そんな北の国から私は、
“南国”北海道へ手紙を出した。


バロー空港。ローカル線の駅のようだ


鯨の顎の骨


バロー大学


ここまでは地平線も明るくなるが、太陽は昇らずまた闇の中へ


地平線まで氷の世界。遠くに月が見える




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